代表挨拶

2023年度

2023年度年次大会理事長挨拶より

日本アクチュアリー会理事長 上田 泰史

今年度の当会の主な取組みをご説明します。

1つ目は「国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制・会計基準等への対応」についてです。
本年6月に金融庁より、「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する基準の最終化に向けた検討状況について」が公開されました。今後、金融庁と当会が連携して、ガイダンスや保険数理機能の責任者の適格性に関するフレームワーク等を検討していく予定です。

2つ目は、ICA2026東京大会に向けた取組みです。5月に行われたICA2023シドニー大会において、東京大会のプロモーション、バトンパスイベント、会議運営の視察を行いました。学術面でも、当会会員の11編の論文が採用され、うち2編が優秀論文を受賞するなど大きな成果をあげることが出来ました。今後、学術面、運営面での一層の取組みを推進して参ります。

3つ目は、試験・教育制度の見直し・検討についてです。
資格試験について、本年度より、受験資格の緩和を行い、18歳以上の方であれば、誰でも受験できるようにしました。特に大学生にとっては、早くからアクチュアリー資格試験に挑戦することができ、在学中に合格科目を重ねれば、就職後の受験負担を軽減することができます。
また、アクチュアリー正会員となるために必要な知識・技能を明示し、定期的に見直しが実施できるように、IAJシラバスの今年度中の完成を目指し検討しております。

4つ目は、中長期的な事業戦略のさらなる活用です。
当会が掲げている中長期的な事業戦略は、普遍的な内容が多いため、2008年度以降、ほとんど見直しを行っていませんが、この事業戦略をもっと活用していきたいと考えています。
この間の環境変化に伴い新たに生じた本会がやるべき事項を織り込み、会員に明示することで、会の活動を行いやすくしたいと思います。また中長期的な視点で会の運営を行うために、単年度の事業計画の策定等との連関性を高めたり、定期的な活動の振り返り・見直しを行い、PDCAの高度化を図るなど、さらに活用する余地があると思います。
今後、年度末にかけて検討し、諸先輩方に作っていただいた貴重な取り組みを十分に役立てていく仕組みを構築してまいります。

5つ目は、広報活動の強化です。
データサイエンスティストやAIエンジニア等、理系人材への企業ニーズの高まり等に伴い、学生の間でアクチュアリーの人気が相対的に低下していく懸念から、学生向けを中心に広報活動を強化しております。全国の大学生を中心としたアクチュアリーセミナーの他に、個別大学に訪問してセミナーを実施しております。また、当会のHPにおいて、アクチュアリーを紹介するコンテンツは更新が滞っているものもありましたが、定期的に更新し、広報の鮮度を上げることといたしました。今後も学生への認知度向上のほか、関係団体を含む一般の方々にも、アクチュアリーが行っている取組み・活動を知ってもらい、ブランド価値を向上すべく、広報活動を推進してまいります。

本会の会員は着実に増え、部会・WG等の組織は毎年着実に成果をあげてきています。一方で、当会はもっとできるポテンシャルを秘めており、その力を十分に引き出せていないのではないかとの思いもあります。今年度から本格的に活動を開始した、気候変動・サステナビリティ研究会では活動開始に先立ち委員の公募を行ったところ、想定を超える多くの会員の応募がありました。本会の活動は会員のみなさまのボランティア精神に依っておりますが、まだまだ会員一人一人が秘めている思いを拾い切れていないと感じています。今後も皆さんのモチベーションを上げ、会の活動を活性化する取り組みを行い、本会の会員で良かったと実感できる会を目指してまいります。
最後に会員の皆さまの益々のご活躍と、日本アクチュアリー会の更なる発展を祈念いたしまして、私の挨拶と致します。

2022年度

2022年度年次大会理事長挨拶より

日本アクチュアリー会理事長 上田 泰史

まずは、一昨年以来、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に見舞われる中、皆さまの当会活動へのご協力に感謝申し上げるとともに、新型コロナウイルス感染症により様々な影響を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

今年度の当会の主な取組みをご説明します。
1つ目は、経済価値ベースのソルベンシー規制への対応です。本年6月に金融庁より、「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する基本的な内容の暫定決定について」が公開されました。本文書に記載のとおり、今後、金融庁と連携してガイダンス等を検討して参ります。

2つ目は、ICA2026東京大会に向けた取組みです。今年度より、ICA2026準備委員会から組織委員会に態勢を強化しました。シドニー大会における東京大会のプロモーションの準備や論文発表する会員のバックアップなどを行っていきます。

3つ目は、試験・教育制度の見直し・検討についてです。まず、アクチュアリー資格試験について、本年度より、紙からコンピューターを利用した試験へと移行いたします。さらに、国際アクチュアリー会・IAAの教育シラバス改訂を契機として、「データとシステム」等の3分野について「特定分野研修(初期教育)」を開始いたします。当研修は、2024年度より正会員資格要件になることを申し添えておきます。また、試験・教育制度の見直しについても昨年度に引き続き検討を進めてまいります。

今年の2月24日にロシアのウクライナ侵攻が勃発し、パンデミックリスクに加え、地政学リスク等の様々なリスクを誘引しています。金融環境のボラティリティも高まっています。まさに今、我々アクチュアリーは「Think the future, Manage the risk」を実践し、国民の安定的な社会生活を支え、日本経済の発展に貢献できる時ではないでしょうか。
今後はアフターコロナを見据えて、本会の活動をより活発化させてまいります。会員の皆様には本会の活動への積極的な参加をお願いします。
最後に会員の皆さまの益々のご活躍と、日本アクチュアリー会の更なる発展を祈念いたしまして、私の挨拶と致します。

理事長就任のごあいさつ

日本アクチュアリー会理事長 上田 泰史

4月1日付で理事長に就任いたしました上田です。よろしくお願い申し上げます。

理事長就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。

近年、少子高齢化や金融システムの高度化・複雑化に加え、AIやDXの進展等に伴い、私たちを取り巻く環境は変化してきています。加えて、ロシア・ウクライナ問題等の地政学リスク、コロナによるパンデミックリスク、大地震・洪水等による自然災害リスクなど、いわゆるテールリスクが同時に発現しています。まさにリスクマネジメントのプロである私たちアクチュアリーの責任と、アクチュアリーに対する社会からの期待が一段と高まってきていると感じています。

このような中、庄子前理事長におかれましては、「アクチュアリー行動規範・行動基準の改正・制定」、「新たな領域である、データ・サイエンス、金融システム、アクチュアリアル・リスクマネジメントに関する集合研修の導入」、「アクチュアリー資格試験のCBT(Computer Based Testing)形式への移行」等をはじめとして、当会ならびに当会会員の発展に多大な貢献をしてこられたことに、改めて感謝の意を表したいと思います。

2022年度は、上記集合研修の本格導入とCBT形式の資格試験を着実に実行することに加え、本邦において2025年導入が予定されている経済価値ベースの健全性規制に向けた保険負債評価の技術的検討や検証手法にかかる検討、および2026年に開催予定のICA(国際アクチュアリー会議)のホスト国として本格的な準備を推進して参ります。

また、冒頭に述べたように、それぞれのアクチュアリーが自分自身の知識・技能の向上に努め、プロフェッショナリズムを高めていくことが、従来にも増して大切です。アクチュアリーが社会の負託に応える専門職として着実に前進するため、教育制度の整備・充実を図り、そして会員の皆様方が、互いに協力・切礎琢磨し合う場を提供することで、当会全体の活力の向上に繋げて参りたいと存じます。

当会の運営は、委員会や部会等による活動が中心となりますが、その根幹をなしているのは会員の皆様の積極的なボランティアリズムであります。当会およびアクチュアリー学の発展、アクチュアリーのブランド向上にむけて、全力を尽くす所存でありますので、何卒会員皆様のご理解とご支援、ご協力をお願い申し上げます。

よりアカデミックでよりアクティブな日本アクチュアリー会としていきましょう!

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