公益社団法人 日本アクチュアリー会
 

アクチュアリーを目指す 座談会

テーマ4 アクチュアリーとしてのやりがい

司会

次にお聞きしたいのは、アクチュアリーという仕事のやりがいについて、です。仕事の内容にも関わることだと思いますので、今、アクチュアリーとしてどのように活躍されているかも含めて、お話いただけますか。まずは生命保険分野のお二人から、お願いします。


奥山

先ほど少し言いましたように、私は現在、主計部という部署で、経営を舵取りする上での肝になる数字をはじいています。 もう少し噛み砕いて言うと、会社の決算や予算、見込みなどの数字をもとに、現在どうなっているか、5年後、10年後にどうなっていくかを分析して、その結果、会社がどうすべきかを検討する、という業務です。

司会

その結果をもとに、経営陣が判断を下す、というわけですね。

奥山

その通りです。自分のような若さで、会社の経営に関わる仕事に携われるというのは、アクチュアリーという専門家ならではのことであり、そこが大きなやりがいと言えます。

金森

私は商品開発を担当していますが、自分の仕事の影響度の大きさというか、自分の仕事の結果が、会社の業績や将来を大きく左右する、ということが、やりがいと言えますね。
例えば商品の価格決定では、販売件数の多い商品だと、価格が10円違うだけで将来的には数億円の違いになることがあります。
もちろん、最終的な判断を下すのは経営層ですが、その判断材料を示すのが私の仕事です。どんな資料を集め、どう予測するか、自分の考えをいかに的確に示すか、さらには結果をどう検証し、次に備えるか。常に緊張感のある仕事だけに、やりがいは大きいですね。

司会

なるほど。ところで、保険商品の価格決定というのは、アクチュアリーの大きな役割ですが、具体的にはどのように決定するのですか?

金森

現在、私は価格決定を担当するプライシング部門ではなく、営業戦略的な立場から、市場調査等の結果を踏まえながら、価格競争力を考慮し、これぐらいの価格で勝負したい、という大まかな価格設計を担っています。
これに対して、プライシング部門は詳細な発生確率やリスク計算によって、その価格の妥当性を検証するというわけです。

司会

つまり、その両者で相互に牽制して、価格が決定するわけですね。

金森

そういうことです。両者で討議する機会も多いのですが、プライシング部門はアクチュアリーが主体で、専門用語が飛び交いますので、私には営業部門に対する「通訳」的な存在という役割もあります。

司会

よくわかりました。次に、損保分野のお二人は、どうですか?

野村

私の所属する主計グループは、決算業務を担う部署で、会社の運営に関わるあらゆる情報が入ってきます。
経営計画はもちろん、資産の運用状況や、保険商品ごとの販売状況や支払い状況など、あらゆる数字を把握する一方で、それぞれの担当部門からアクチュアリーとしての意見を求められる。そうした社内でも重要なポジションを担っているのが、大きなやりがいですね。

早瀬

私も野村さんと同様に主計グループで、責任準備金や支払備金(※2)、ソルベンシー・マージン比率(※3)の算出を担当しています。
これらは、いずれも保険会社の健全性に関わるもので、昨今の金融危機を背景に、その算定基準に対する視線が厳しくなっています。

野村

特に、ソルベンシー・マージン比率は、新基準への移行に加え、国際的にも見直しの動きがあり、更にいろいろ検討すべき課題があります。大変ではありますが、そこがアクチュアリーの腕の見せ所、とも言えますよね。

早瀬

確かに。また、国際会計基準への対応としては、バランスシートで「負債」として計上される責任準備金や支払備金について、計算方式がより複雑なものになります。こうした計算を担うアクチュアリーの実力が、今まで以上に問われるようになりますよね。

司会

なるほど。保険業界の変化の最先端に、アクチュアリーの存在あり、ということですね。年金分野のお二人はいかがですか?

堀口

私は年金信託部の中で、企業年金の制度設計などを担う「制度設計室」に所属しています。
日々感じていることとしては、年金制度というのは非常に複雑で難しい側面があるので、営業部門の方々や、お客様からさまざまな質問を受けることがあります。そうした際に、わかりやすく、適切にお答えすることができ、納得していただけると、やはり嬉しいものです。

鈴木

同感です。実際にお客様と接する機会が多いのは営業部門の方ですが、やはり制度面よりも商品面の知識が中心ですし、頻繁な法改正に理解が追いつかないこともあります。
そうした際に、私たちが専門家として対応するわけですが、できるだけ専門用語を使わずに説明したり、図解入りの説明書を作ったりすることで、「わかりやすかったよ」と感謝されたときは、達成感を味わえます。

堀口

そうですよね。あと、私の担当する制度設計の場合ですと、お客様のご要望と、法令上のルールとを合致させて、いかに適正な制度にできるか、というのがテーマになります。
上手く制度設計ができ、お客様にも喜んでいただけると、ほっとするというか、アクチュアリーとしての責任を果たせたという実感がありますね。

司会

ありがとうございました。ところで、今の質問とは反対に、アクチュアリーになったことでの苦労というものもあるんでしょうか?

奥山

例えば法改正など、常に最新の情報をキャッチアップし続けなければいけないところでしょうか。アクチュアリーとしては当然のことですが、絶えず勉強し続けるというのは、正直言って辛いな、と思うこともありますね。

早瀬

確かに、これはやりがいと表裏一体なものですが、やるべきことが多くて、息つく暇がほとんどありません。特に、私が担当している決算作業というのは短期集中型の仕事ですので、体力的に辛いというのはあります(笑)。

堀口

法改正とか決算とかで、どうしても作業が一時期に集中してしまうことがありますので、ちょっと体力的に辛いかなと思うこともあります。これはアクチュアリーなら誰も同じではないでしょうか?

金森 野村 鈴木 (深々と頷く)

司会

なるほど。アクチュアリーという仕事は、やりがいが大きい分だけ、それなりの苦労も覚悟しないといけない、ということですね。


※2 支払備金:
保険契約に基づく支払い義務が発生している案件で、決算時点で支払われていないものに対する準備金。



※3 ソルベンシー・マージン(支払い余力)比率:
大災害や株の大暴落など通常の予測を超えた大規模リスクに対応できる支払い余力を有しているかどうかを判断する行政監督上の指標の一つ。2012年3月期からリスク計測の厳格化等を内容とする新基準が適用される。


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