アクチュアリーという仕事の魅力

年金分野

土屋 良輔

生命保険相互会社 団体年金サービス部
基礎工学部 情報科学科

いかに分かりやすく、お客さまと同じ目線で対話ができるか。年金アクチュアリーとして、身近で信頼される存在を目指す。

仕事内容

企業年金制度の継続や変更に応じた検証、設計、試算まで幅広く担う

確定給付企業年金制度が長期的に継続していくために、必要な年金資産が積み立てられているか検証する業務や、企業の人員データをもとに、予定脱退率や予定昇給率を算定して掛金を算出する業務を中心に行っています。また、年金制度の変更依頼に応じた制度設計や試算をしたり、各企業の退職給付債務を計算したりと、企業年金に関する幅広い業務に従事しています。

年金アクチュアリーとして働く私は、お客様や営業担当の方と直に接する機会が多くあります。そこで学んだのは、お客様と同じ目線に立ち、難しい企業年金の内容をいかに分かりやすく伝えることができるかが、仕事をするうえでの重要なポイントだということです。

以前、法改正があり負債の計算方法が大きく変わったとき、自分が改正内容を理解することで精いっぱいになり、お客さまへの説明準備が不十分になってしまったことがありました。結果的に、お客さまに上手く伝わらず、申し訳なさとともに非常に悔しい思いをしました。

この出来事を機に、「この説明はお客さまにも理解できる内容だろうか」「お客さまにとって納得できるものだろうか」と立ち止まって考えることをより大切にするようになりました。

仕事の魅力

重要書類の“最後の検証者”という責任ある仕事を通じ、お客さまに感謝していただける

お客さまと直接対話できることが大きなやりがいです。アクチュアリーになり年金数理人として初めてお客さまのもとを訪問した時のことは今でも鮮明に覚えています。企業年金の決算に関する報告書など、厚生労働省に提出の義務がある重要書類は、年金数理人の記名があるものでないと受け付けてもらえません。つまり“最後の検証者”としての責任を担う存在です。最後の検証者として、お客さまの決算資料を作成し、お客さまに対して自分の言葉できちんと説明する。プレッシャーもありますが、それだけやりがいがありますし、説明を尽くしてお客さまから直に感謝の言葉をいただいた時の喜びは特別なものがありました。

また、最近では社外の委員会活動に積極的に参加できるようになり、他社のアクチュアリーと接する機会が増えています。さまざまな知見に触れる機会があることもやりがいの1つです。

今後の目標

複雑化する年金制度も「この人に聞けば分かる」と信頼されるようなアクチュアリーに

企業年金は確定給付企業年金法など、各種法律に基づき運営する必要があります。しかし、年金関連の法律は改正頻度が高く、最近は内容も複雑になってきており、お客様にとって理解が難しくなってきている印象があります。そのためアクチュアリーには、法改正について適切にキャッチアップすることはもちろん、その内容を咀嚼し、お客様にわかりやすく伝えることがますます求められていくでしょう。

私は今後、「難しい専門用語や計算過程などは、土屋に聞けばわかりやすく説明してくれる」と信頼してもらえるようなアクチュアリーになりたいと思っています。お客様や職場の人たちにとって、気軽に相談できる身近なパートナーとして寄り添えるよう、自己研鑽を欠かさず、仕事に励んでいきたいです。

Message

メッセージ

アクチュアリーは難関資格ですが、努力すれば報われる試験です。一番大変なのは働きながら勉強しなければならないことだと思います。私の場合は、平日朝1.5時間、夜は仕事の疲れもあるため1時間で、計2.5時間は勉強するようにしていました。土日に一気に勉強することも大事ですが、毎日少しずつでも勉強する習慣が身につけば、内容を忘れにくくなるのでおすすめです。正会員になると活躍フィールドが一気に広がり、充実した日々が待っています。ぜひ頑張ってください。