アクチュアリーという仕事の魅力

リスクマネジメント分野

関 寛仁

信託銀行 リスク統括部
理学部 数学科

リスクの変化を捉え対応するために、
新たなアプローチを探求し、自らを成長させていく。

仕事内容

リスクの変化を捉え、客観的な分析に基づいて、
リスクマネジメントの強化をサポート

現在私が所属しているのは信託銀行のリスク管理部門で、その重要なミッションの一つに「統合リスク管理」という業務があります。統合リスク管理とは、会社が直面するさまざまなリスク要因を統合的に評価して、各リスクに対して適切な資本を割り当て、会社の資本効率を高めるマネジメント手法です。例えば、与信先の信用リスクや金融資産の価格変動といった市場リスク、業務の過程で生じるオペレーショナルリスクなどを計測し、客観数字をもとに必要なリスクマネジメントの強化策を検討し、経営層をサポートします。

そのなかで、私は確率や統計学に基づく理論やモデルを応用して、リスクシナリオに対する損失やその回避策をシミュレーションし、資本が充足しているか否かを確認する業務を担当しています。また、設定したリスク指標をモニタリング・分析し、必要に応じて対策を講じることも私たちの部門の役割です。

日々の業務の遂行においては、アクチュアリーとしての知識だけでなく、多様な能力が求められます。自社の商品やサービスの理解に加え、規制、経済、社会動向を把握し、リスクの変化を捉える必要があります。また、私は以前、企業年金の業務に携わっていましたが、専門的な内容を人にわかりやすく伝えることの重要性は共通していると実感しています。

仕事の魅力

事業領域の拡大に不可欠なリスク管理の高度化。
その難しい業務に取り組むなかで感じる自身の成長

銀行が対応すべきリスクは、つねに広がっています。信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクといった伝統的なリスクのほかに、近年は、気候変動、サイバー攻撃、地政学、AIなどに関わるリスクへの対応も重要度を増しています。さらに会社の事業領域も拡大しているため、毎年のように新たなリスクが登場します。こうした動きをキャッチアップし、業務を高度化していくことは容易ではありません。しかし、努力をして新しい分野の知識を積極的に取り入れることで自身の成長を感じるのとともに、会社の成長に貢献しているというやりがいを得ることもできます。

また、洞察力も養うことができました。私たちの役割は数値やデータを分析して、その結果をもとに企業運営や事業推進上の意思決定を支援することです。表面的な数値にとらわれてしまうと、事象の背景にある真の原因やストーリーを見逃すことがありますが、アクチュアリーとして実務経験を積むなかで物事の本質を見極める能力を磨くことができていると感じており、このことも仕事の魅力の一つであると考えています。

今後の目標

伝統的な枠にとらわれず新たなアプローチを探求し、
会社の持続的な成長に貢献し続ける

ビッグデータの時代において、データを活用した事業が急速に拡大しています。これにともないリスク管理業務の守備範囲も拡大し続けており、アクチュアリーには伝統的な枠にとらわれず新たな課題を自ら発見し、それに対する解決策を考え提案する能力が求められていると認識しています。これからも、データサイエンスや機械学習など、新たなスキルを積極的に取り入れ、リスク管理の新しいアプローチを探求することで、会社の持続的な成長に貢献していければと思っています。

Message

メッセージ

アクチュアリーは社会貢献性の高い職業です。私はCERAを取得してリスク管理の道に進みましたが、今後、アクチュアリーが活躍する領域は数理計算やリスク管理にとどまらず、社会の変化によってどんどん広がっていくと考えています。また、実務を通じて身に付けた能力と新しく学んだ知識をリンクさせることで、未知の領域を開拓できる可能性もあります。自ら学んだことはきっと皆さんの糧になります。資格を取得した後も学ぶ姿勢を大切にして、ぜひ新しい道を切り開いていってくれることを期待しています。