アクチュアリーという仕事の魅力

その他の分野

藤田 卓

インシュアテック企業
情報理工学系研究科 システム情報学専攻

アクチュアリアル・データサイエンスを武器に、スピーディーな意思決定を支える。

仕事内容

保険数理とデータサイエンスを掛け合わせたソリューションにより、経営の意思決定をサポートする

保険分野におけるデータやAI等のテクノロジー活用を、「インシュアテック」と言います。私はインシュアテック企業に所属し、お客様である保険会社の保険料を、機械学習技術を活用して算出するソリューションを提供しています。このソリューションにより、これまで時間を要していた保険料の算出時間が大幅に短縮でき、迅速かつ円滑な透明性の高い意思決定につながります。

仕事をする際に心がけているのは、お客様が抱える課題の背景をさまざまな情報から整理し、論理的思考で問題の原因を特定することです。以前、前任者のいない全く新しいプロジェクトを任されたことがあります。従来モデル化されてこなかったリスクについて、海外事例をもとに日本のケースに落とし込み、リスク量を算出することを目的としていましたが、充分なデータがないため満足のいく定量的分析ができず、その分を前提条件の設定や定性的分析でカバーしました。こうした状況でも最善の提案をするためには、問題の特定から結論に至るまでのプロセスのなかで、与えられたデータだけで分析するのではなく、自ら解決に必要な情報は何かを考え、集め、分析する力が求められます。

仕事の魅力

チャレンジ精神と学び続ける姿勢があれば、活躍できるフィールドは無限に

現在の業務では、国内外の保険会社が展開するさまざまな保険商品のプライシングに関与していますが、国によって規制や利用可能なデータの質・量には違いがあり、対応の仕方もそれぞれ変わってきます。国や企業の状況に合わせた柔軟な対応が求められるチャレンジングな環境ですが、その分やりがいもあり面白いです。

また、アクチュアリーはビジネスパーソンでありながら、アカデミック分野と密接に関わることができる点も大きな魅力です。私はアクチュアリー会での活動を通じて知り合った他社や他組織の方々と、新たな数理手法について学んでおり、そこでの気づきが本業にも活かされています。普段の業務では携わらない領域の知見やスキルを吸収できる環境があるので、幅広い視点を持ったアクチュアリーとしてさらに成長できると思いますし、活躍できるフィールドもますます広がっていくと感じています。

今後の目標

「リスクを扱う専門家」のアクチュアリーには、世の中の発展を支える使命がある

今後は、現在従事しているアクチュアリアル・データサイエンス分野の理解をより深め、さまざまなお客様にデータサイエンスを通じた新たなソリューションの提案をしていきたいと思います。

また、アクチュアリーは従来、保険や金融など数理計算の専門家として知られていましたが、今ではビジネス全般で生じうるリスクや機会を評価・分析する専門家と言えるほど、活躍するフィールドが多様化しています。社会がますます速いスピードで変化し、企業を取り巻くリスクが複雑化しているなかで、アクチュアリーは企業の、そして社会のリスクマネジメントの大きな力になるはずです。私も業界にとらわれることなく、積極的に新しいプロジェクトや活動に関与し、アクチュアリーの活躍領域を広げていくことにも貢献したいです。世の中全体の発展を支えるという大きな使命感を持ち、成長し続けたいと思います。

Message

メッセージ

数理的な強みを活かせる職業としてアクチュアリーに関心をもっている方が多いと思います。そんな方々に伝えたいのは、実際に業界に入ると、数理的な領域以外にも、非常に多くのことを学び、活かすことができるのがアクチュアリーという仕事だということです。ビジネスの領域は幅広く、自分の強みを活かせる場は必ずあります。数理と○○を掛け合わせて、ぜひ、自分だけの得意領域を探してみてください。 今抱いている好奇心を忘れず、チャレンジし続けてほしいです。