2015年度
平成27年度年次大会理事長挨拶より
日本アクチュアリー会理事長 浅野 紀久男
皆様おはようございます。理事長の浅野でございます。よろしくお願い申し上げます。
本日は、大変ご多用中のところ、ご来賓として、日頃からご指導賜っておりますご当局より、
金融庁 監督局 保険課長 井上 俊剛 様
厚生労働省年金局 数理課長 武藤 憲真 様
各業界を代表して、
生命保険協会 会長 筒井 義信 様
信託協会 会長 常陰 均 様の代理として、
三井住友信託銀行取締役常務執行役員 荒海 次郎 様
日本損害保険協会 会長 鈴木 久仁 様
にご臨席いただいております。後程ご挨拶を頂戴いたしたいと存じますが、まずもって当会を代表して厚く御礼申し上げます。
また、本年も、海外からご来賓をお招きしておりますので、ご紹介させていただきます。
IAA 国際アクチュアリー会 会長 Frederick Rowley 様
後程ご講演をよろしくお願いいたします。
つづきまして、イギリスから
Institute and Faculty of Actuaries, Council Member Cynthia Yuan 様
今年は、日本アクチュアリー会の海外研修班がたいへんお世話になっております。厚く御礼申し上げます。
つづきまして、アメリカから
Society of Actuaries, Former Board Member Susan Blanck 様
そして、台湾から
Actuarial Institute of the Republic of China, President Yu-Hwa Wang 様
さて、理事長挨拶のこのお時間を頂戴して、私から
「この1年間の活動の振り返り」と、
「今後の重点取組事項」
について、お話させていただきます。
まず「この1年間の活動の振返り」についてですが、ステージの上に掲げております日本アクチュアリー会のスローガン“Think the Future , Manage the Risk”のもとで、会員の皆様とともに、アクチュアリー会の活動に取り組んで参りました。
なかでも、「重点取組事項」ということで、ここに記載の3点をあげさせていただきました。
① 国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準等への対応
② 平成27年度から実施される新・継続教育制度の円滑な実施に向けた対応
③ 国内外でのアクチュアリーのプレゼンスの向上
まず、国際的な経済価値ベースの規制等への対応については、フィールドテストに関連して、ご当局の仕様書作成時に、当会においては、「国際基準対策委員会」が中心に金融庁とご連携をさせていただき、精力的な検討を実施いたしました。 去る6月にご当局からフィールドテストの結果の概要が公表されたところであります。 海外対応といたしましては、FSAPの指摘事項への対応を実施し、生命保険会社の保険計理人の実務基準について、新たな収支分析を設けました。
2つ目の継続教育関係では、われわれアクチュアリーの「ブランド力」の一層の向上を図るため本年4月より新・継続教育制度を開始いたしました。 内容面につきましては、既存の正会員を対象としたプロフェッショナリズム研修の新設や、e-ラーニングのコンテンツの充実等に努めてまいりました。
役員、委員会等組織、各会員、事務局スタッフ、総力を挙げて実行しなければ、成功はない、とたびたび申し上げてまいりましたが、集合研修の申込者数などでは、その成果も表れてきております。
引き続き、会員の皆様の積極的な参加をお願いいたします。
3つ目の「国内外でのアクチュアリーのプレゼンスの向上」については、国内においては、関連団体とのコラボレーションに注力いたしました。日本公認会計士協会とは両会トップ同士の対談を実施し両会のジャーナル誌等に掲載しました。
海外においては、イギリスを中心に実施される海外研修でのプレゼンテーションや、オスロ、シドニーでのコロキアムでの論文発表を通じて研究発表成果がグローバルに評価されました。また、諸外国のアクチュアリー会との意見交換や年次大会への参加により、戦略的な交流に努めております。
続きまして、「今後の重点取組事項」についてお話しいたします。今後1年程度の間に実現したい事項として、ここにある3点をあげさせていただきます。
①「経済価値ベースのソルベンシー規制」、「保険商品数理」についての研究
② 新・継続教育制度のフォロー・充実と国際アクチュアリー会(IAA)教育シラバス改訂内容の精査
③ アクチュアリーのプレゼンスの向上と次世代育成
まずは経済価値ベースのソルベンシー規制などについてですが、ご案内のとおり国際的にこれらの検討も随分と進んできております。
また、ご当局の「平成27事務年度 金融行政方針」にありますとおり、ソルベンシー規制についての具体的な検討と並行して、関連する、標準責任準備金制度、商品審査のあり方等、より広範な議論が必要になってまいります。
当会としてはこれまで以上に、国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準に係る検討について、諸外国の動向をフォローするとともに、我が国における基準および実務に関する検討において引き続き中核的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
保険商品数理に関しては、昨年度、専門的・理論的な検討を行う場として「生保商品特別検討WG」を設置しました。社会・経済の変化等を背景とした保険に対するニーズの多様化を踏まえたうえで、創意工夫を活かした保険商品開発への貢献を目指した議論を行っています。
ご当局の「金融行政方針」においても、当会等との対話により、商品審査の考え方の周知や創意工夫を活かした商品開発や改定を促したいとの方針を示していただきました。 これらの事項については、今年度もしっかりと実施してまいりたいと考えております。
2つ目の教育関係については先ず新・継続教育制度の初年度の振り返りを実施し、今年だけの一過性の盛り上がりで終わることなく、制度のいっそうの充実に向けて、試験・教育企画委員会などにおいて、毎年、継続的に見直しが図られ、より良い制度につながる仕組みを定着化させたいと考えております。
また、IAAでは教育シラバスのレビューのタスクフォースが立ち上がり、シラバスを数学、経済学など伝統的な分野と、データとシステム、モデル、リスク管理などの今日的な分野に分けて、主として後者の教育に注力することが検討されております。 当会もこの改訂検討への参画しておりますが、改訂内容の精査に努めてまいる所存です。
最後に、「アクチュアリーのプレゼンスの向上と次世代育成」です。
当会は先月、国際アクチュアリー会(IAA)に対して、2026年の第33回国際アクチュアリー会議(ICA2026)の開催意思があることを表明し、招致に向けた準備に着手いたしました。
ICAは、各国のアクチュアリーによる論文発表を初め、その時々の興味深いテーマについて活発な意見交換が行われる、世界のアクチュアリーにとって4年に一度の大イベントであります。
日本では1976年に開催され、開会式には当時の皇太子ご夫妻や大平大蔵大臣がご臨席され、世界44ヵ国から2200名あまりが参加しました。
ご案内のとおり、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」においては、「2030年にはアジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」という目標が掲げられましたが、ICA招致は、まさにこのわが国の政策とも合致しております。
ただ、招致が成功いたしましても、開催は11年後であり、世代を超えてのご協力が必要でありますので、これから、皆様とともに一致団結して招致活動に注力し、前回の東京開催からちょうど50年の節目にあたる2026年に、国際アクチュアリー会議、ICAを、是非とも、日本に招致し、当会の発展、ならびに国際的なアクチュアリーの発展に貢献してゆこうではありませんか。
国内においては、次世代育成、特に将来の女性会員の裾野を広げるためにも、中学・高校生といった文理選択前の世代やその親御さん、進路指導担当の先生方へのアクチュアリー職の紹介に注力したいと考えております。
村上龍の「13歳のハローワーク」にアクチュアリーが紹介されていることは有名ですが、来年度は、複数の中学2年生の数学の教科書で、アクチュアリー職を取り上げていただけることとなっておりますので、アクチュアリーの認知度はますます高まっていくと思います。
当会の5,000名を超える会員が、様々な局面・場面で参画でき、日本アクチュアリー会会員でよかったと実感できるアクチュアリー会を引き続き目指して参りますので、何卒、今後とも会員皆様のますますのご理解とご協力をお願い申し上げます。
さて、今年度も、大会委員会、プログラム部会が、たいへん魅力的なプログラムを用意いたしました。 本日の特別講演では、藤沼 日本公認会計士協会 元会長はじめとした著名な方々から、ご講演いただきます。
明日からのパネルディスカッション等では、会場に新たにWi-Fiを設置し、また満席に備えて中継会場も用意させていただいております。会員の方々の積極的な参加を期待しております。
最後になりますが、本日ご来賓としてお越しいただいた皆様におかれましては、引き続き、ご支援・ご指導を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
ご清聴、ありがとうございました。
以上
2014年度
平成26年度年次大会理事長挨拶より
日本アクチュアリー会理事長 浅野 紀久男
皆様おはようございます。理事長の浅野でございます。よろしくお願い申し上げます。
本日は、ご多忙の中、ご来賓として、日頃からご指導賜っておりますご当局より、
金融庁 監督局 保険課長 諏訪園 健司 様
厚生労働省 年金局 数理課長 武藤 憲真 様
各業界を代表して、
生命保険協会 会長 渡邉 光一郎 様
信託協会 会長 中野 武夫 様
日本損害保険協会 会長 櫻田 謙悟 様
にご出席いただいております。後程ご挨拶を頂戴いたしたいと存じますが、まずもって当会を代表して厚く御礼申し上げます。
また、本年は、海外のアクチュアリー会からご来賓をお招きしておりますので、ご紹介させていただきます。
Casualty Actuarial Society(CAS) International Ambassador Robert Conger 様
CASは今年100周年を迎えます。おめでとうございます。
つづきまして、
Society of Actuaries(SOA) Director Susan Blanck 様
昨年のSOAの年次大会では、日本アクチュアリー会の海外研修班がたいへんお世話になりました。厚く御礼申し上げます。
最後に、
The Actuarial Institute of the Republic of China(AIRC) President Joe Chan 様
先月、東アジアアクチュアリー会議(EAAC)台湾大会が盛大に開催されました。本当にお疲れ様でした。
さて、理事長挨拶のこのお時間を頂戴して、私から
「この1年間の活動の振り返り」と、
「今後の重点取組事項」
について、お話させていただきます。
まず、「この1年間の活動の振り返り」について、お話しいたします。
昨年の年次大会では、ステージの上に掲げております日本アクチュアリー会のスローガン“Think the Future , Manage the Risk” のもとで、会員の皆様とともに、アクチュアリー会の活動に取り組むことを発表いたしました。
なかでも、「重点取組事項」ということで、ここに記載の3点をあげさせていただきました。
① 国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準等への対応
② ERM(統合的リスク管理)分野の段階的定着へのアクチュアリーの貢献
③ 試験・教育体制の整備・充実
まず、「国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準等への対応」については、去る6月のご当局の「経済価値ベースのソルベンシー規制の導入に係るフィールドテスト」に関連して、当会においては、精力的な検討を実施いたしました。
海外対応といたしましては、FSAPの指摘事項への実務基準の対応を継続して実施しております。
2つ目の「ERM(統合的リスク管理)分野の段階的定着へのアクチュアリーの貢献」については、リスク管理分野の研修の充実に努めてまいりました。実際に、昨年1年間に当会が提供した集合研修などの対象分野をざっと集計してみますと、3分の1がリスク管理分野のテーマでありました。
また、CERA資格の段階的な定着へ向けて、一部テキストの翻訳や試験問題の参考訳の提供に協力させていただきました。
ERM・CERA資格につきましては、引き続き、段階的定着を目指してまいります。
3つ目の「試験・教育体制の整備・充実」については、継続教育要綱の改正を行い、来年から開始される、新・継続教育制度の準備ならびに一部先行実施を行いました。内容面の充実が今後の課題と認識しておりますが、良い制度作りには実施後の状況フォローが重要であります。一過性の単年度の事業ではなく、毎年の振り返りと改善、これを運営側の各委員会等におかれましても心がけていただきますようお願いいたします。
また、平成24 年に、IAA(国際アクチュアリー会)の教育ガイドラインに『コミュニケーション・スキル教育』についての記載が追加されたことを踏まえ、当会でもコミュニケーション・スキルの向上に資するメニューを、新たに会員向けに提供いたしました。
今後のアクチュアリー教育に関しましては、IAAにおいてもタスクフォースを立ち上げて検討が開始されましたので、当会としても動向を注視して参ります。
続きまして、「今後の重点取組事項」についてお話しいたします。今後1年程度の間に実現したい事項として、次の3点をあげさせていただきます。
① 国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準等への対応
② 来年度から実施される新・継続教育制度の円滑な実施に向けた対応
③ 国内外でのアクチュアリーのプレゼンスの向上
まずは経済価値ベースのソルベンシー規制などについてですが、ご案内のとおり、国際的にこれらの検討も随分と進んできております。
そうした中で、ご当局からは「平成26事務年度 金融モニタリング基本方針」において、当会等との連携により、経済価値ベースの規制導入に向けた検討作業を引き続き進めるとの方針を示していただきました。
当会としてはこれまで以上に、国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制、会計基準に係る検討について、諸外国の動向をフォローするとともに、我が国における基準および実務に関する検討において引き続き中核的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
2つ目の「来年度から実施される新・継続教育制度の円滑な実施に向けた対応」については、正会員向けプロフェッショナリズム研修やe-ラーニングなど、コンテンツの充実を図っていきたいと考えております。
各会員の受講状況のフィードバックや動画配信といった、実効性やインフラ面についても、一部、今年度中に先行実施し、来年度は活用範囲をより拡大していきたいと思います。
また、年金分野では法令の改正に伴い、年金ビジネスの変貌やこれからの年金アクチュアリーの在り方に留意しつつ、平成28年度の資格試験より、年金コースの試験内容を見直すこととしました。
最後に、「国内外でのアクチュアリーのプレゼンスの向上」ですが、国内においては、調査・研究・提言機能の強化を図っていきたいと考えております。
一方、国際的な面においては各国アクチュアリー会などとお互いの知識や経験を交流させ、それを高めてゆくことが当会を更に発展させてゆくためには大切ではないかと考えております。
そこで、是非とも、近い将来に、IAA、EAACのような国際会議を日本に招致し、当会ならびに会員の国際的なプレゼンスの向上に役立てていきたいと思います。若い会員の皆様におかれましては、今のうちから英語力の向上に励んでいただきたいと思います。
ご案内のとおり、当会の会員数が5,000名近くになってきており、専門職としての更なる高度化も求められております。そのために、広く会員が共通の便益を受けられ、かつ当会全体としても向上することが必要ではないかと考えております。様々な局面・場面で、多くの会員が参画でき、日本アクチュアリー会会員でよかったと実感できるアクチュアリー会を目指して参りますので、何卒、今後とも会員皆様のますますのご理解とご協力をお願い申し上げます。
さて、今年度も、大会委員会、プログラム部会が、たいへん魅力的なプログラムを用意いたしました。 本日の特別講演では、著名な方々から、ご講演いただきます。明日からのパネルディスカッション等も含め会員の方々の積極的な参加を期待しております。
最後になりますが、本日ご来賓としてお越しいただいた皆様におかれましては、引き続き、ご支援・ご指導を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
ご清聴、ありがとうございました。
以上
2014年度
理事長就任のごあいさつ
日本アクチュアリー会理事長 浅野 紀久男
本年6月11日に開催された理事会の決議により、同日付で理事長に就任いたしました。就任にあたり、会員の皆様に一言ご挨拶を申しあげます。
最初に、野呂前理事長におかれましては、その在任中、「経済価値ベースのソルベンシー基準についての研究と提言」、「ERM(統合的リスク管理)専門人材の育成体制の整備」、「公益社団法人への移行」などといった事項に、力強いリーダーシップを発揮され取り組むことで、当会の発展やアクチュアリーのプレゼンス向上に多大な貢献をされてこられましたことに、改めて感謝の意を表したいと思います。なお、野呂前理事長には、会長に就任いただき、今後も当会全般について引き続きご指導いただくことといたしました。
さて、経済のグローバル化が進む中で、社会・経済を取り巻くリスクは多様化・複雑化していき、その結果、規制の強化や会計基準の見直しが進められているなど、将来への不確実性は確実に増大してきています。
このように不確実性の高い時代だからこそ私たちアクチュアリーの果たすべき役割は、大変高まっているのではないかと考えております。
こうした中で、当会としては、
- 国際的な経済価値ベースのソルベンシー規制や会計基準に係る検討についての動向をフォローするとともに、我が国における基準および実務に関する検討において中核的な役割を果たす
- 統合リスク管理態勢の整備・高度化が求められるなかで、アクチュアリーが技術と経験を活かして充分に機能発揮できるよう、CERA資格の段階的な定着を図るとともに、ERMの考え方の普及や調査研究を進める
- アクチュアリーを取り巻く環境の変化に的確に対応するとともに、専門家としての高いクオリティの維持・向上を図る観点から、試験・教育制度の整備や内容の充実に向けて検討を進める
等の取り組みを進めていきたいと考えております。
また、当会は平成25年4月1日付をもって公益社団法人に移行いたしましたので、公益社団法人としての態勢を強化しつつ、上記をはじめとした公益の増進を意識した研究・調査事業、育成・教育事業、資格認定事業などの諸活動の充実・発展に努め、当会の目的である「国民生活の安定及び国民経済の健全な発展」に貢献していきたいと考えております。
さて、当会の運営は、委員会や部会等による活動が中心となりますが、その根幹をなしているのは会員の皆様の積極的なボランティアリズムであります。当会およびアクチュアリー学の発展、アクチュアリーのプレゼンス向上にむけて、全力を尽くす所存でありますので、何卒会員皆様のご理解とご支援、ご協力をお願い申し上げます。
最後ではありますが、会員の皆様の今後ますますのご健勝、ご活躍を心より祈念しております。
以上