重要な決定に関われる。
数字を通じて、人と向き合える。
司会
次に伺いたいのは、アクチュアリーとしてのやりがいです。皆さんどうでしょうか。
中矢
自身のアドバイスがお客様の大きな決定に繋がった時に、やりがいを感じます。アドバイスの際には、専門的な内容をわかりやすく伝えられるよう心がけています。
加藤
確かにアクチュアリーは、相手に説明する能力を問われますね。専門的な数字を、専門家ではない人たちに理解していただけるようにする役割。私たちの相手は数字だけでなく、数字を活かしたい人たちですから。
中矢
なかなか難しいんですよね。
加藤
はい。私は自然災害リスクと、それをどうやって保険料に反映するかに取り組んでいるのですが、分析精度が上がるほど複雑でわかりにくくなるんです。でも、だからこそ、わかってもらえるようにすることに燃えますね。
藤井
いいですね。私は、会社で起こっているさまざまな事象を分析して、数字として経営陣に伝える仕事をしていますが、分散効果とか専門的な内容になってくると、理解してもらうのになかなか骨が折れます。
司会
リスクの世界って、一般の人には馴染みがない分野ですからね。
藤井
はい。リターンは足し算なのに、なぜリスクは足し算ではないのか、とか。
加藤
説明の難しさは、アクチュアリーであれば誰しも一度は経験したことがありそうですね。
藤井
ですね。アクチュアリーではない人にも分かりやすいように説明することは苦労しますが、それでも経営判断に関わる仕事だということにやりがいを感じます。私が理解を間違えば、経営判断を誤らせることになるというプレッシャーも含めて。
向井
私はお客様に感謝されることにやりがいを感じます。以前に、ペット共済が法改正によって少額短期保険に移行しなければならなくなったときに、保険計理人*を務めたことがありました。年金が専門分野である私にとってはまったく未知の領域であったため、いろいろと勉強して取り組み、苦労しました。それでも無事に少額短期保険業者として登録されたときには、お客様がとても喜んでくださり、努力した甲斐があったと思えました。
中矢
確かに、お客様に感謝していただけるのはやりがいになりますね。お客様のニーズがどこにあるのかを把握することや、ニーズを引き出すためにお客様と関係づくりをすることは重要ですね。
黒田
私は、もちろん業務でもいろんな場面でやりがいがありますが、今一番やりがいを感じるのは女性アクチュアリーの育成です。塾講師の経験を活かせるところもあるかなと思っています。
加藤
女性のアクチュアリーはまだ少ないですからね。
黒田
そうなんです。私の勤務先では、ダイバーシティを推進していることもあり、会社を挙げて女性アクチュアリーの育成には力を入れている所です。
藤井
リスクが多様化しているなかで、アクチュアリーにもさまざまな観点が必要で、ダイバーシティが求められますよね。女性アクチュアリーもぜひ、増えてほしいです。
西村
私はアクチュアリーの仕事が、社会インフラともいえる意義あるものだということに誇りを感じています。たとえば、標準生命表の作成をアクチュアリー会で行っています。死亡率や平均余命などを年齢別や男女別にまとめたものですが、生命保険の設計になくてはならないし、アクチュアリーにしかできないことです。
加藤
保険の仕組みは社会にとってなくてはならないものですよね。私は自然災害による損害を補償する保険に関わっているのですが、大きな地震や台風が起きるたびに、自分たちが作っている数字の重さを実感します。被災された方の生活を左右する重要な数字を算出しているのだと感じますね。
司会
なるほど、今回お集まりの皆さんは、いろんな仕事ができることや、社外との接点が多いことに魅力を感じているのですね。この場では出ませんでしたが、純粋に数理計算やプログラミングが楽しいというアクチュアリーも多くいます。やりがいも多様だといえますね。
テーマ
参加者
司会
生保アクチュアリー
損保アクチュアリー
年金アクチュアリー