アクチュアリーという仕事の魅力

生命保険分野

石田 浩史

生命保険会社 商品開発部
理工学部 数理科学科 統計専攻

あらゆる事象からより良い”解”を導き出す。
目には見えない「保険」という商品をよりシンプルに、わかりやすく、身近なものとするために。

仕事内容

契約期間が長く、複雑に要素が絡み合う商品だから、“最適解”を導くために追及し続ける

私は自社の商品開発部門に所属しており、主な担当業務は生命保険商品のプライシングです。一口にプライシングと言っても、検討すべき要素は多岐にわたります。特に生命保険は契約期間が非常に長い商品ですので、契約時のお客様の審査から契約後の内容変更、保険金の支払いまで、契約に関連して発生する諸々の事象を適切に反映する必要があります。

数学の問題などと異なり、導き出すための要素が複雑に絡み合う上に、推測・判断も加わることからその“解”は決して1つにはなり得ません。ですので、“最適解”を導くために労を惜しまず模索し、追求し続けることを心がけています。

また、こうした推測・判断の根拠を、アクチュアリーでない人にも納得できるように説明できなければ、会社からの「GO」サインが出ることはありません。したがって、アクチュアリアルな業務の内容を、いかに簡単に、簡潔に説明できるかも重視しています。

仕事の魅力

自分が値段をつけた商品が、
無事に発売日を迎えたときの感慨はひとしお

商品開発は、商品企画部門や営業部門などからの要望を受けて進めていくものですが、すべての要望を満たすことは困難です。加えてリスク管理部門、契約維持部門、システム開発部門など、いくつもの関連部門間で協議・調整を行うこともよくあり、なかなか調整がつかない中で開発スケジュールの期限が迫ったときには、プライシングに対する責任と締め切りへの焦りの板ばさみとなり、いつも辛い思いをします。しかし、その分、自分が値段をつけた商品が無事に発売できたときの喜びも大きなものです。さらに、そのあとで営業部門から好評を聞けると、また違った喜びと達成感を味わうことができます。

もともと私は子どもの頃から算数・数学が好きで、大学でも数理学科に所属していたものの、将来のプランを具体的に描いていたわけではありませんでした。勉強が好きなわけではなかったので研究者として大学に残るというのも気が進まず、そんな中、研究室の先生からアクチュアリーという職業があることを聞き、大学の先輩たちにも話を聞いたところ、「これこそ自分を活かせる仕事ではないか」と感じたのです。結果として、好きな数学を武器として磨きながら、商品開発というクリエイティブな仕事に関わっているわけですから、アクチュアリーを選んだことは極めて正しい“解”だったと思います。

今後の目標

アクチュアリーとしての知見をより良い商品につなげる、プラスアルファの技術を

昨今、アクチュアリーの業務は一層複雑化しています。これにともない、専門職としてのスキルだけでなく、他の部門の業務にも精通していくことが必要だと考えています。例えば、お客様に適した契約内容か否かを判断する「危険選択」業務に精通したアクチュアリー、あるいは、営業経験があるアクチュアリーなど、プラスアルファの知識・スキルを習得することで、関連部門とのコミュニケーションも円滑化し、活躍の場も広がるのではないでしょうか。

私自身は、アクチュアリーとしての知見を蓄積し、より良い商品につなげていきたいと考えています。そのために磨くべきは、さまざまなデータと自己の専門性に基づき、実現可能な商品を模索していく商品開発技術です。一方で、自己満足することなく、お客様にとって目に見えない「保険」という商品をよりシンプルに、わかりやすく、身近に感じていただけるよう、商品性を高めていくことも目指します。

Message

メッセージ

最近はアクチュアリーを目指す方が徐々に増え、人材も豊富になってきたようで、とても嬉しく思います。

資格取得後に、自分がどのようなアクチュアリーになりたいか、どのような特徴を発揮できるのかをイメージすることで、やるべきことが見えやすくなると思いますので、どうか努力を惜しまず頑張ってください。
アクチュアリーとして皆さんと働ける日をお待ちしています。