活躍フィールド
日本アクチュアリー会の5,000人を超える会員が多彩なフィールドで“数理業務のプロフェッショナル”として活躍しています。
日本アクチュアリー会は100年以上の歴史を持ち、現在では5,000人を超える会員が在籍しています。従前は、大多数の会員が生命保険会社、損害保険会社、信託銀行に所属していましたが、近年では、各省庁、コンサルティング会社、監査法人、再保険会社などに所属しながら、それぞれの専門性を活かして活躍するアクチュアリーも増えています。
日本のアクチュアリー資格は、保険会社経営や年金制度運営に不可欠な「保険計理人」や「年金数理人」の要件の一つであることが法律で定められているなど、社会的に高く評価されています。

生命保険分野で
超長期にわたるリスクを適正に評価して事業の健全な運営を支える
生命保険とは、人の生存や死亡、疾病など生命にかかわるさまざまなリスクに備えて、将来の保障を提供するサービスです。
生命保険会社は、数十年という長期間にわたって加入者との契約関係を維持し、お客さまからお払い込みいただいた保険料をもとに、保険金や給付金を確実にお支払いする必要があります。そのため、常に収支のバランスを保ち、生命保険事業を取り巻くさまざまな環境変化にも対応できる“健全な会社経営”が求められています。
そうした中、会社全体の収支の分析や適正な保険料の算定、将来の保険金や給付金の支払いのための準備金の評価などを行っているのが、生命保険分野のアクチュアリーです。とくに近年は金融の自由化や高齢化、人口減少などによって、商品・サービスの多様化が求められるとともに、会社の健全性の維持・向上が強く求められているため、従来の数理、商品開発部門に加えて、経営企画やリスク管理部門などにおいても重要な役割を担っています。

損害保険分野で
多様化・複雑化する保険商品のリスクを分析して事業の健全な運営を支える
損害保険とは、将来発生する偶然な事故・災害や人の傷害など、家庭や企業を取り巻くさまざまなリスクによる経済的損失を補償するサービスです。それぞれのリスクのさまざまな発生頻度や規模を統計的に分析しながら、環境変化やニーズ変化などに対応して、商品開発や商品内容・保険料の設定、リスクの計量化や将来の保険金支払いのための準備金の算出などを行う際にアクチュアリーは重要な役割を担います。
「ドライバーや車両の特性に応じて保険料が細分化された自動車保険」などの商品開発には数理的に複雑な手法が求められ、「台風・地震のように、発生頻度は低いものの一度発生した場合には巨額の保険金支払いが必要となる災害を補償する保険」などには十分な準備金確保のための適切なリスク評価が求められます。
このように商品の開発・引受、リスク管理を行うために、アクチュアリーの存在がますます重要になってきています。

年金分野で
年金数理の専門知識を活用して企業年金制度の課題を解決する
企業年金制度とは企業が従業員を対象として実施する年金制度です。
年金分野のアクチュアリーは、企業年金制度を実施する際、企業のニーズを踏まえ制度を設計し、確率・統計の手法を用いた年金数理計算により掛金を算出します。
制度実施後は、定期的に掛金や積立水準を検証します。また、退職給付に関する企業会計上の債務評価においても、重要な役割を担っています。国際的な会計基準への対応もあり、役割・期待は高まってきています。
企業年金制度は企業財務に大きく影響すること、企業の人事戦略の一部となっていることから、企業年金制度の運営および見直しは重要な経営課題のひとつとなっています。特に企業再編時における企業年金制度の統合は、大きな経営課題となることがあります。年金アクチュアリーには、コンサルタントとしての問題解決能力も期待されています。
我が国の企業年金制度は変革期にあり、その専門家としてのアクチュアリーの存在感は年々増してきています。

リスクマネジメント分野で
保険・年金領域にとどまらない数理モデルの作成技術など、確率・統計のノウハウを活かした貢献が期待される
企業等が業務遂行上のすべてのリスクに関して、組織全体の視点から統合的・包括的・戦略的に把握・評価し、企業価値の最大化を図る収益・リスク管理のアプローチをERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)といいます。
アクチュアリーは、従来から保険や年金の分野でのさまざまなリスク管理に関する業務に携わっており、定量的分析を行う数理モデル作成の技術を備えております。加えて、アクチュアリー行動規範に従う専門職能者としての倫理性など、リスクマネジメント分野で求められる多くの重要な特性を有しています。このため、最近では国際的にも、その専門性を活かしてERMにおけるアクチュアリーの貢献が一層期待されています。

その他の分野で
数理的な分析力・判断力を活かして社会・経済情勢の変化とともに活躍の場を広げる
アクチュアリーのもつ数理的な分析力・判断力は、社会・経済情勢が変化していくなか、さまざまなシーンで必要とされています。
例えば、多種多様なデータを分析しビジネスに活用可能な価値を引き出すというデータサイエンスとも親和性が高く、技術革新により可能になった機械学習等の新たな分析手法を駆使することにより、アクチュアリーの活躍の場はますます広がっています。
個人会員の業態分布 (2024年3月末)

生命保険 | 信託 | 損害保険 | その他 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|
正会員 | 935 | 202 | 319 | 665 | 2,121 |
準会員 | 657 | 92 | 260 | 453 | 1,462 |
研究会員 | 681 | 55 | 284 | 998 | 2,018 |
計 | 2,273 | 349 | 863 | 2,116 | 5,601 |
諸外国のアクチュアリー会
海外のアクチュアリー会とも交流のある国際的な資格であることなどから、企業や社会からも高く評価されています。

- アメリカのアクチュアリー会
- イギリスのアクチュアリー会
- カナダのアクチュアリー会
- オーストラリアのアクチュアリー会