報告書

「保険負債の検証責任者」の適格性に関するフレームワーク(案)

「保険負債の検証責任者」の適格性に関するフレームワーク(案)

2024年11月29日

2025年度より導入予定の「経済価値ベースのソルベンシー規制」に向け、「保険負債の検証責任者」の適格性に関するフレームワーク(案)を作成致しましたので公表致します。

当資料は、経済価値ベースのソルベンシー規制で各社に求められる検証機能のうち、各社が「保険負債の検証責任者」を選任する際に必要となるルール及びプロセスの文書化に資することを目的として作成したものである。

当資料は「保険負債の検証責任者」の役割を定めるものではなく、当該責任者が持つべき能力や資質に焦点を当てたものである。当該責任者の役割は法令等を踏まえ、各社において定めるものであるため、例示される能力・資質について、各社における当該責任者の役割や各社固有の事情等を反映し、修正を行うことを妨げるものではない。また、ここに示す内容を満たすのみで「保険負債の検証責任者」の適格性が保証されるものではない点、並びに権限、責任及び独立性に関する社内規定に関しては別途作成が必要である点に留意が必要である。

コミュニケーション リーダーシップ/
説明責任
プロフェッショナリズム 知識、環境認識
及び理解
技術的スキル
  • 様々な関係者と効果的にコミュニケーションをとる
  • 的確な分析をもとに明確で簡潔な提言を行い、複雑な内容を分かり易く説明する
  • 取締役会等の関連する議論を把握し、必要に応じ検証結果や提言内容の報告を行う
  • 提言の限界および不確実な領域を認識し、必要に応じ取締役会等で説明する
  • 取締役会等やその他社内外の関係者と良好な関係を構築する
  • チームに属するスタッフの業務を主導し、責任を負う
  • 取締役会等に対し説明責任を持ち、取締役会等からの課題に効果的に対応する
  • 独立した意見を述べる。更に、必要がある場合は関係者の見解等を踏まえ、意見を再検討する
  • 取締役会等による意思決定や社内外の関係者からの提案に対して、専門的立場から必要に応じ異議を表明する
  • 関係者の異なる立場から生じる利益相反を理解する
  • 必要に応じ、監督当局に対して、自身の見解や意見を表明する
  • 外部要因が与える保険事業への影響を十分に理解する
  • 保険事業に関する法令等の規制、および関連する監督当局等の方針や重要施策等を十分に理解する
  • 保険事業の財務状況やリスクの技術的および実務的分野に関する、原則や慣行を十分に理解する
  • 保険商品や保険事業に関連する内容を十分に理解する
  • 保険負債の検証責任者に相応しい、十分な技術的スキルを持つ。なお、技術的スキルには以下事項を含む(ただし、これに限定されない)
  • 保険負債の評価方法
  • 保険契約のプライシング
  • 再保険の契約内容
  • リスクの測定、管理および軽減方法
  • 資本要件
  • 資産および負債の統合分析
  • 保険引受方針
  • リスクとソルベンシーの自己評価 (ORSA)

関連QA

質問 回答
1 自社における保険負債の検証責任者の役割(保険計理人が兼務する場合等)に応じて、自社で定めるルール及びプロセスを調整することは可能か? 各社における保険負債の検証責任者の役割に応じて、調整を行うことを妨げるものではありません。
2 「取締役会等」が意図している会議体の範囲について、どの様に考えれば良いか教えて欲しい。 金融庁の監督指針において使用される用語としての、「取締役会等」と同じ範囲を意図しています。

2024年6月28日 掲載