例会

2015年度 第3回例会のご案内

2015年6月26日

テーマ
「保険における非合理性」

従来の経済理論は、人間は合理的であり、期待効用を最大化する行動をとると説いている。 これを生命保険に適応すれば、見込み客は合理的であり、保険商品のコストと比較して保険事故が発生する確率を必ず評価した上で、期待効用を常に最大化する選択をしていることになる。 しかし、保険業界に従事する者なら誰もが実際には必ずしもそうではないことを知っている。 保険契約者は合理的であるとは限らないし、意思決定においては思っているより感情面や心理面が働くことが多い。
一方、プロスペクト理論は、期待効用理論とは一線を画する理論だが、リスクを負った状態における意思決定の実態の解明を試みる。 講演ではこの問題を掘り下げ、ヒューリスティック(簡便法)、賦存説、損失回避、およびアンカリング等、行動ファイナンスにおける他のバイアスを取り上げる。 意思決定において実際に機能するバイアスの事例を用い、プライシングや商品開発、商品ポジショニングに関与するアクチュアリーが 意思決定における思考のあり方や動機づけ要因を理解する重要性を明らかにする。 更に、行動バイアスを商品デザインに生かした、南アフリカの興味深い保障内容を取り上げ、 必ずしも消費者の利得にならないような選択をしないよう消費者を保護する観点で、アクチュアリーが商品デザインにおいて留意すべき点を考察する。

日時
2015年7月27日(金) 17:00 - 19:00
会場
TKP赤坂駅カンファレンスセンター(ホール 13A)
講師
Jaqui Wassenaar氏

Jaqui Wassenaar氏(ジャッキ・ワッセナー氏)は、RGAリインシュアランス・カンパニー・オブ・サウス・アフリカのビジネス・ディベロップメント・アクチュアリーであり、ビジネス開発と主要顧客管理を責務とされています。 生命保険・再保険業界において、13年におよぶ経験を有しております。 RGAに入社する以前は、モーメンタム・コレクティブ・ベネフィットのプライシング部門において、団体生命保険のプライシング、およびHIV/AIDSの基礎データやモデルの開発に従事されておりました。 ワッセナー氏は、南アフリカ・アクチュアリー会の正会員であり、同会業務&メンバーサービス部会の部会長を務められています。

公式CPD
2.0単位 <生命保険>